2014年6月19日木曜日

ヤギとヒツジに予防接種

6月の初め、ヒツジとヤギに予防接種を行いました。
ヒツジが14頭とヤギが13頭で計27頭。
注射の順番を並んで待っててくれないので、こちらからみんなを集めに行きます。
具体的な計画は、追い立て、包囲して、隅に追い込み、押さえ込んでブスリです。
獣医の先生と飼育員6名総出の体力勝負。

ヤギもヒツジも数頭ずつ、何部屋かに分かれて入っています。
最初に注射する予定の部屋のヤギは、自分になれていると言う自負がヤギ、ヒツジ担当の職員にありまして、出来ればこの子らは一人で確保しようと、先に部屋に乗り込みました。
ところが、慎重に近づき、手を伸ばし、いけるかなと思ったところへ、そこら辺の思惑に気付かないほかの職員が、ドヤドヤ入ってしまいました。
そしたら、ヤギたちが、すかさず異変を察知、放牧場へ逃走。
放牧場の深い牧草に埋もれたヤギをさてどうして小屋へ戻すか、最初から計画通りに進みません。
どうしたものか

















うちの動物たちは、みんなとても臆病で、いつもと違う雰囲気に敏感です。
人がいつもより多いとか、白衣を着た先生がいるとかで警戒心が増し、一旦警戒させてしまうと、もう我々の手の届く範囲には寄り付きません。
かといって、放牧場のはるか向こうに走り去り戻ってこない、わけでもない。
どうした何だと野次馬っぽく我々を観察しつつ、つかず離れず、微妙な距離には寄ってくる。
そこを、腕を広げてそろりそろりと追い立てると、ノタノタと部屋の隅に集まるので、よしここだと手を伸ばすと、いきなり急発進で、人垣をズバッと切り裂き中央突破。

ヒツジなんか、羊毛をつかめば簡単に確保できると思われそうですが、みっちりつまった毛はつかもうにもそう簡単に指が入っていかない。
おまけにあの毛はとってもオイリーで滑ります。
胴体をぐっとタックルするにはモコモコし過ぎて手が回りません。
初心者は、脇をすり抜けるヒツジに飛び掛り、突進力に空を切って糞の散らかったコンクリートの床に転がったりします。

ではどうやってこの丸っこいモコモコ君たちを確保するか。

ヒツジはとにかく群れたがる、逃げるときもすぐに固まって押し合いへし合いしながら動きます。
そこで、集団を崩さないよう追い立てて、一網打尽に部屋の隅へ追い詰めます。
今回一網打尽には出来ませんでしたが、何とか4頭を固まったまま角の壁に飼育員二人で押し込めました。
多少ぎゅっとやっても相手はモコモコなんでダメージはありません。
固めて動けなくすると、観念するのか、暴れて跳んだり跳ねたりしなくなり、わりと楽に抑えておけます。

ヒツジは警戒心より群れたいという欲求が勝るようで、押さえ込まれず逃げ出した1頭がひとりじゃ不安で、みんなの中に入ろうと、人とヒツジの密集地に突進、押さえ込んでる職員の又の間からニュッと顔を出してきました。
これは、飛んで火にいる夏の虫、ぎゅっと太ももで挟み込み、いらっしゃいませ順番が来るまで暫らくお待ちくださいとなりました。
一網打尽















注射しても、痛みに身をよじるようなしぐさはみられないので、どうも彼らは、注射か嫌いで逃げてるわけではなくて、単純に、追うから逃げる、こっちは逃げるから追う、追われれば逃げなきゃ、の繰り返しで大捕り物(表現が古いな)に発展。

親子2組、4頭のヤギも逃げるので、小さな放牧場を追いかけます。
何回も逃げらて、走り回っているうちに、仔ヤギが、前を走るヤギに乗っかり、覆い被さりと、逃走中にあるまじき行動を始めました。
鬼ごっこの途中、興奮してきて、キャーキャーいいながら走り回っている幼稚園の子みたい。
もう逃げてると言うより、はしゃいでるという感じで呆れてしまいます。
人が近寄ってきたら、とりあえず逃げるという態度を改めてもらえればお互い楽に注射を終らせられるのにな。

この4頭には首輪がしてあり、ここにうまく指が引っかけ、動きを止めてしまえばもうじたばたはしなくなります。
その点は楽。
じっとしてる様子が、追っかけるから逃げるんじゃんといってるよう。

お母さんを何とか1頭確保すると、子供たちは、走るのを止め、寄って来ます。
お母さんが捕まっちゃったみたいな悲壮な感じじゃなくて、なにやってんだ、次は何して遊ぶんだみたいな野次馬な顔。
よしここだと、首輪に指を引っ掛けましたが、しっかりつかめず逃げられる。
でもまた、のこのこやって来るので警戒心もどこまであるのやら。今度ははがっちりつかんでハイ注射。
つかまれば大人しい

















逃げ回っても、結局やってきてつかまってしまうあたりの素直さや人懐っこさは、ヤギって飼いやすいじゃんという気になります。

岐阜市畜産センター公園 奥村
前髪クネ男にもプスリ














君にもちょっと用がある




















2014年6月12日木曜日

仔豚の去勢

6月10日火曜日に、日曜に生まれたオスの仔豚の去勢を行いました。
去勢しないオスは、成熟すると「雄臭」と呼ばれる匂いがあり、肉や肉の加工品(ソーセージなど)にその匂いが移ります。
この匂いは口に入れられないほど不快だそうで、食肉としての価値が著しく落ちるようです。
食肉として育つオス豚に、去勢は避けて通れません。

そして実は、去勢はオス豚だけの運命というわけではありません。
うちのホルスタイン2頭も去勢。
肉豚と同じ理由で、肉牛もほとんど去勢して飼います。

さらに、乗馬の6頭も去勢されたオスです。
オス馬は、競走馬から乗馬に転用される場合、たいがい去勢されます。
去勢したオスに「せん馬」という呼称があるのは、たぶん去勢がよく行われている証でしょう。
馬の場合、気性が大人しくなること、発情期に興奮しなくなることなど飼い易く乗りやすい馬にするというのが主な目的です。
そしてもちろん、オス豚、オス牛も去勢したほうが飼いやすくなります。

山羊、羊の去勢は一般的ではないようです、うちでも去勢はしていません。
体が小さいので、オスもそれほ危なくないからだと思います。

牛や豚はは去勢されてかわいそうだと思いますが、ペットの犬や猫も不妊のための去勢手術を勧められたりしているので、人に飼われる動物には去勢はついて回るものなのでしょう。

という訳で仔豚の去勢の現場ですが、やらなければいけないことはやらないといけない、可哀そうなと現場でしり込みしてもしょうがありません。
なるべく仔豚に負担をかけないよう、速やかにさっと切って、ピッと取って、シュッと消毒液を塗ってハイ次と手早く済ませませました。
ちょっと我慢してね

2014年6月11日水曜日

ぴよぴよコンサート6回目

6月9日午後1時から、ぴよぴよコンサートの6回目を開催しました。
「小さなお子様のための音楽会」というコンセプトのもと、お子様のペースに合わせて気軽に楽しめるファミリーコンサートです。
隔月開催のイベントなので、これで一年、一回りをしました。
初回ですでに、お子さんと保護者さん合わせて100人近くと我々の予想以上の皆さんに参加をいただき、それから参加人数はずっと右肩上がり。
前回は、200人近くの皆さんに参加を頂き、今回は200人を少し超えました。
カウンター片手に参加人数を計測させてもらったところ、大人118名子ども99名。
平日月曜の昼下がり、小さなお子さんばかりなので、たぶん幼稚園や保育園に上がる前の未満児のお子さんでしょう。
満員御礼














会場になるべくたくさん入っていただけるよう、ロビーでベービーカーをお預かりしたら、一角がベビーカーで埋まりました
大人は女性がほとんどなので、お母さんが、小さいお子さんを一人連れて参加されたようです。
乳母車













ぴよぴよコンサートを開いてくださる「トリオアンサンブル」は学校の音楽の教員をなさっていた戸本先生が、退職を機に、奥様と結成されました。
戸本先生が、ファゴット、オーボエ、クラリネット、フルート、サクソフォンなどの5種類の木管楽器を担当、奥様がバイオリン、それにピアノ奏者を迎えた編成です。
6回目の今回は、「トリオアンサンブル」さんがアルパ(ハープ)の奏者さんをお迎えしてのコラボレーション。
本日の楽器














コンサートの開始は午後1時ですが、演奏の皆さんは、9時には楽器の搬入、その後すぐに、会場のレイアウトを確認修正、楽器の調律や響き具合の確認、スピーカーのボリュームの調整など、半日みっちり準備に費やされます。
忙しく準備をしていらっしゃるトリオの皆さんには、本物の楽器の生の音を小さなお子さんにきちんと伝えたいという熱を感じます。

音響確認














一方、バイオリンの弦をはじいたり、クラリネットのマウスピースをビーッと鳴らしたりしてらっしゃる様子がとても楽しげで、先生方も午後からのコンサートを楽しみにしていらっしゃるんだろうなと思いました。
音色をチェック














 午前中の準備も終わり、午後1時音楽会が始まりました。
大人向けのコンサートと違い、開始の直前の緊張した静寂からスタートとはいきませんが、お母さんがたには、始まりの静寂があるので、騒然と言うほどでもありません。
100人近い未満児のいる小さな会場の割には静かにコンサートは始まりました。

1時間のコンサートは4部構成、最初は、「トリオアンサンブル」がお母さんに馴染みのある童謡唱歌を軽快に奏で、かえるの合唱で締めくくり。
第2部は今回のゲストアルパの高木さんの演奏。
ハープの仲間のようで、テレビなどで多少聞き覚えのある音色ですが、本物の響きは深みが違う(ような気がします)
第3部はアルパとヴァイオリンのコラボで美しい旋律のスタンダードなポップス。
2部、3部は、お母さん向けの癒しの音色という感じ。
そして最後のアルバ&リングトリオアンサンブルでの演奏は取り揃えた多彩な曲からのリクエストコーナー。
みんな立ち上がって一緒に歌ったり、踊ったり、抱っこされたぴよちゃんが優しい曲に併せてゆらゆらしたり。
お母さんもお子さんもとてもリラックスして生の演奏を聞いていただけました。
抱っこしてフラ















今度は8月11日の開催です。
また来てね














岐阜市畜産センター公園 奥村

2014年6月8日日曜日

ぶた温泉

こんな暑くなるより前、5月の初めのまだ涼しいころからずっと、デュロック種のメスブタが、放牧場の水溜りに浸かっています。
いつ行っても水溜りにしゃがみこんでる。
たぶんあの穴は自分でせっせと掘ったものでしょう。
彼女にとってはウォータベッドみたいなものかも。
5/15まだ涼しいころからこんなでした。














お天気が続いても、うまい具合に、そこだけ、サバンナのオアシスみたいに水が溜まっています。
日中いつ見てもずっと水に浸かって動きませんが、あのいい具合のお風呂感は、偶然の水溜りとも思えず、ひょっとすると我々の見てない夜のうちに掘り返したりしてメンテナンスもしているかもしれません。

とにかくずっと浸かっているので、そのうち河馬になっちゃうんじゃないかと心配です。

5月末は、季節外れの猛暑で、さすがに彼女の水溜りも心細くなり、干からびかけて、泥風呂みたいになりました。
それでも水溜りを動かないので、背中に当たる日差しがさぞかし熱かろうと心配していましたが、今年は早くも6月4日に梅雨入り宣言。
明けて、6月5日は気象庁からどうだの声が聞こえそうなずばり的中の雨降り。

そして6日、少し広くなったデュロックの水溜りは、泥水たっぷりで、リラックスして横たわってる様子は露天風呂の趣。
6/6少し大きくなりました。














この日初めて、もう1頭、デュロックの少し離れたところで、水溜りに横たわる豚がいました。
デュロックのほうは、見慣れた光景、ああ、今日もやってるなと思うのですが、こっちのブタは、まぁ行儀が悪い。
仕事が雑というか、たぶん何の仕事もしていない、池どころか、水溜りですらない、たまたま雨上がりの一番水はけの悪いところに、両手両足を投げ出した横倒しの野垂れ死にスタイルでバタン。
体は泥まみれで灰色のガビガビ。

ブタに限っては、放牧場ど真ん中の野垂れ死にスタイルは、割とよく見かける光景で、こっちもそんなに驚きはしません。
でも、泥水に雑巾色で野垂れられているのを見つけたときは、さすがに心配で、小走りで様子をうかがいに行きました。
もちろんそばまでくれば、気持ちよくお腹をフコフコしているのはすぐわかります、いびきも少々でうらやましいくらいの曝睡中。
これからは、あなたも、もう少し身の周りをきちんとしてからおやすみになって頂きたい、出来る子は居るんだから。
と伝える方法はないでしょうか。
何事!!!

 梅雨入りは、ぴったり当てた気象庁ですが、6日午後からのお天気は予想外、蒸し暑い昼下がりです。
これから熱くなって、他のブーにも水溜りでの暑気払いが流行ると、泥にまみれてガビガビの集団を見たお客さんに、泥の塊が動いたなんて驚かれるかもしれません。
あと2頭もこんなになったらたぶん驚かれる。


岐阜市畜産センター公園 奥村