2014年1月23日木曜日

注射の日

今日は5年に一度の馬の採血検査の日です。
家畜保健衛生所から獣医さんに来ていただき、うちの馬とロバ全頭に注射して採血をしてもらいます。
現在当公園にいる馬の数は、木曽馬5頭、乗馬(サラブレッドなど)6頭、ミニチュアホース5頭、ポニー1頭、そしてロバが2頭の計19頭。
みんな注射は嫌いです。

最初は乗馬に行きます。
ここの馬たちは、みんな、無口(手綱を繋ぐために顔にかける紐のヘッドギアみたいなもの)をつけているので馬場前の係留場に繋がれてお利口に獣医さんをお迎えしました。
獣医さんが登場したところで、馬たちが注射される気配を察し、興奮して嘶いたり、暴れたりするのかと思いましたが、拍子抜けするくらい大人しいまま順調に採血が始まりました。
乗馬会の指導員さんが馬の右側から手綱を抑え、獣医さんは反対側に立って、首筋の血管を指で探り注射をし、すっと血を抜いて、ハイ終了。
乗馬の馬は毛が短く首筋は血管が浮いているので採血しやすいのかもしれませんが、それにしても早い。
人間の採血だってけっこう失敗して刺しなおされたりしますが、乗馬の6頭は一発OK。
緊張気味ではあります














一番最後のフロスティーは、厩務員泣かせの暴れん坊、大人しく採血させてくれるだろうかと心配。
指導員さんに暴れませんかと聞いたら、フロスティーは利口なので無駄なことはしません、獣医さんの前では大人しいですと言われました。
そして、結果、たしかに大人しい。
それどころか、この仔は痛くないように首筋をすっと伸ばして、採血しやすい体勢をとりましたよと獣医さんに褒められた。
厩務員と獣医、人を見て態度を変えるんかいと呆れるやら、頭の良さに感心するやら複雑な気持ちです。

注射されるときの理想的フォーム














乗馬が順調に終わり次はロバ。
こちらは無口をつけるところから始めます。
若いわび助は無口をつけられるのを嫌い逃げ回ることがあるのですが今回はとても大人しくあっさりと無口を付けさせてくれ、2頭とも順調に終了しました。
わび助は、自分から寄って来るくせに手を出すとすっと逃げる、人懐こいわりに臆病な性格だったのが、今年は手を出しても逃げず、鼻面を撫でると柵に頭を預けてリラックスした様子を見せていたので、そういう心境の変化が注射のときにも現れたのかもしれません。

動かないように抑えておけば早くすみます














ロバの次は木曽馬。
ここの問題児は、みなも、無口を付けるのを一番嫌がります。
木曽馬は、個別の馬房にエサで、おびき寄せます。
そして、食いしん坊たちが、エサだエサだと浮かれ、夢中で食べている間に出口に柵を通して閉じ込め、逃げられないようにして無口を付けます。
気配を察することも無く、エサに釣られる皆さん














最初の風雅(ふうが)は大人しく無口を付けて繋がれてくれたのですが、針が血管にうまく刺さりません。
ちょっと暴れる彼女の首を飼育員が抱きかかえ、注射をしている獣医さんが見えないようにそちら側の目を手で塞ぎ、恐くないよと声をかけて落ち着かせます。
針を刺してからも血管を針で探したりされるので、見ていても痛そうで、獣医さんもごめんね、ごめんね、と声をかけつつ何回か注射をし直しますがどうもうまく行きません。
馬は緊張すると、筋肉が血管に覆いかぶさって守るような状態になり、針が刺さりにくく、血管に届かなくなるそうで、一旦注射は中断、他の馬を先に終えることになりました。
今回みなもは、すんなり無口を付けてお利口でした。
他の馬も大人しく、スムーズに採血できました。

ごめんね














そしてもう一度風雅。
最近した注射の跡が化膿したことがあり、首周りにしこりができたことがあり、そのせいで血管が見つけ難いかもしれないと飼育員が獣医さんにお伝えし、もう一度首周りを触ってみて、その後、一発OKとは行きませんでしたが。2度で採血完了。
みんなで、ほっと胸をなでおろし、よく頑張ったねと風恋を褒めました。
触診で血管を見つけます 風恋以外は百発百中














最後はポニーとミニチュアホースです。
ここには、個別の厩舎や係留場所がないので無口をつけるのに馬場の中を追いかけて馬を捕まえなければいけません。
馬場は3箇所、どれも周りを柵に囲まれた小さな馬場です、が本気で走る馬を捕まえるのは大変です。
ミニチュアホース以外の馬たちは、隣で注射をされていても、それほど動揺せず、扱いやすかったのですが、ミニチュアたちは、一箇所に注射に入ってちょっと馬を追い始めた途端、隣の馬場の馬まで動揺しまくり、一緒になって鳴くわ走るわ、厄介なことになってきました。

馬だけでなく、動物たちを捕まえるための基本は、どこか狭いところや角に追い詰め動けなくすること、そうやって追い詰めて捕獲です。
そのセオリー通り飼育員3人が、馬を囲こんみ、両手を広げてトウセンボをしながらジリジリと近づいて柵の角に追いやったり馬房に追い込んだりして捕まえ無口を付ける手はず。
しかし敵も去るもの、逃げる気満々になっている馬たちは、軽快に走り出し、囲いの隙間をするりと抜け、迫る追っ手をフェイントを入れるような動きでかわしと縦横無尽に逃げ回ります。
それでも、飼育員は慌てず騒がず、根気よく手を広げて1頭1頭追い込んでは無口をつけ係留して注射を打ってもらいました。
疾走するミニチュア てこずる飼育員














ミニチュアで困ったのは逃げ回っだけでなく、繋がれても他の馬たちのように観念せず、注射がチクッとしたら暴れるところ。
その中でも2頭が、針が刺さりかけのところでビクッとするのでうまく針が入らない、ビクッの次は腰を落として踏ん張ったり、前足を上げて立ち上がろうとしたり、他の馬たちに比べ格段に往生際が悪い。
あまり暴れると馬にも人間にも怪我の危険があるので、これで駄目なら見送りというところまで頑張って、何とか採血を終えました。
往生際の悪いミニチュア 更にてこずる飼育員














ミニチュアホースにこんなにてこずるとは思いませんでしたが、大きな馬たちが大人しくしていてくれたのはホントにありがたいことでした。
午前11前から初めて正午過ぎ3時間かからず終ったのでまずまず順調だったのではないでしょうか。
馬も人間も怪我無く良かったです。

岐阜市畜産センター公園 奥村

2014年1月20日月曜日

体重測定

12月16日に生まれた仔牛の体重を量りました。
本日1月16日現在で60kg、生まれてすぐの測定では27kgだったので、2ヶ月で倍以上。
といってもこれが牛の普通の成長スピード、これからもどんどん大きくなります。

仔牛を計測するときは、お母さんが暴れないように繋いでおきます。
産んですぐのときは、仔牛に手を出すとモーモーと激しく鳴いたり、仔牛のところへいこうともがいたりしましたが、今日は、それほど激しく鳴いたりもがいたりせず、落ち着いた様子でした。













逆に、生まれてすぐは嫌がらず飼育員に抱かれていた仔牛のほうが、すこし物心がついてきたのか、母牛が係留されると途端に落ち着きがなくなり、お母さんの陰に隠れるように飼育員から逃げます。
60kgにもなると抱きかかえるわけにも行かないので首の辺りを抱え込みます。













母牛がつけている無口というヘッドギアのようなものを使えば、誘導が楽ですし、簡単に繋いで置けるので、チビのほうにも、無口をつけようとしましたが、まだ顔も小さくて、一番小さなサイズでも使えませんでした。
3つのサイズの無口をあれこれ試している間、心臓の鼓動がどんどん早くなり体を抱きかかえている職員に伝わってきたそうです。
そこで、無口をあきらめ、撫でたりさすったりしながらすこし仔牛の気を沈め、ごめんな、もう少しの辛抱な、などと声をかけつつ、しかし首にまわした腕に入れた力は緩めず、もう一人がお尻を押してやっとこさ計量器に乗せて本日の測定を修了。


























腕を離したらお母さんのところへすっ飛んでいってお乳を咥えていました。

岐阜市畜産センター公園 奥村













生ポプリ

うちのバラ担当が、秋の終わりに摘んだ花びらで、バラの花の塩漬けを作りました。
モイストポプリというものだそうです。

秋のバラの季節が終って、これからちょっとひと休み、株に養分を蓄えられるように、残ったバラの花を摘みました。
その花びらを捨ててしまうのが惜しいので、何か良い使い方は無いかと、担当職員がネットで調べ、みようみまねで作ったものです。

なるべく香りの強いバラの花びらを広口のガラス瓶の中に、塩と一緒に敷いていきます。
塩を瓶底に敷き、その上に花びらを敷きその上にまた塩を敷きと花びらと塩を交互に、ガラス瓶の口いっぱいまで入れて行きます。
先日、約2ヶ月ぶりに冷暗所(倉庫の奥)にしまっておいたガラス瓶を取り出しました。
バックが悪くてすいません














つるして乾燥させたドライポプリの花色が濃くなったり、黒ずんでくるのと対照的に、4ヶ月塩漬けにした花弁は、すこし色が抜けて、薄く白っぽい色合いになっていました。
花びらの質感も反対で、乾燥してパリパリしたドライポプリと違いが、モイストポプリは、そこそこ瑞々しく、摘み取ったときの花びらの質感が残っていて、「生ポプリ」という感じです。















人工的な香りやアルコールなどを添加せず、花びらだけで作ったので、市販の香水みたいに、蓋を開けたとたん、部屋にぱっと香りが広がっていくわけではありません。
蓋を開けたすぐは、アレ、匂わない、と惑いました。
それが、ドライアイスのスモークみたいに、ゆっくりと瓶の口からからあふれ出し、垂れて落ち、下のほうを這うように広がっていきました。

ガラス瓶の中で、色とりどりの花びらが、白い塩で幾重にもサンドイッチになっている様子はとてもきれいです。
このまま花びらを出さず、バラのミルフィーユを部屋のインテリアとして楽しみ、お客さんがいらしたら、瓶の蓋を開けて、バラの香りをかいだり、花びらを一枚取り出し、手にとってその瑞々しさを味わってもらったりするとモイストポプリが楽しめると思います。













次のバラのシーズンにもモイストポプリを作って腕を上げ、ゆくゆくはモイストポプリに講習会を開けるようになればとうちの職員に期待をしています。

 岐阜市畜産センター公園 奥村